マッチングアプリの最初のメッセージは、選別の仕事になる

マッチングアプリの最初のメッセージを考えるだけで、疲れることがあります。

相手のプロフィールを読み、失礼にならない言葉を選び、返事が来るかを待つ。返事が来なければ、次の相手を探す。これを繰り返していると、文章を書いているというより、短い選考書類を何度も作っている感覚になります。

最初のメッセージで行っていること

最初のメッセージには、少なくとも三つの仕事が重なっています。

  1. 相手がどんな人かを短時間で読む
  2. 自分を返事の対象として提示する
  3. 返事が来たあとに続けられる話題を置く

この三つを一通に詰めるので、送る前から疲れます。しかも、相手が返事をするかどうかは、こちらの文章以外の条件にも左右されます。

「いい文章を書けば会話が始まる」という説明は、この複数の条件を一つにまとめすぎています。

これは会話の前にある選別である

通常の会話なら、相手の反応を見ながら話し方を変えられます。マッチングアプリでは、会話の前にプロフィールと数行の文章で接続が切られる。

サービスの画面上では、相手も自分も候補の一覧に並びます。最初のメッセージは、関係を始める会話であると同時に、候補に残るための提出物にもなる。

その仕事を一人ずつが無償で行っています。利用者が努力していることと、構造として選別コストを負担させられていることは、両立します。

書き方の定型文を売ると何が起きるか

最初のメッセージのテンプレートは、短期的には便利です。

ただし、同じ型が広がると、相手は似た文章を何度も受け取ることになります。すると今度は、テンプレートらしさを見抜くための選別が必要になる。

文章の工夫が、別の文章の工夫を呼びます。個人が下手だから終わらないのではなく、全員が選ばれようとすることで、選別に使う時間が増えていく。

できることを小さくする

構造を変えられなくても、自分の負担は少し調整できます。

  • 通知を常時オンにしない
  • 一日に見る相手の数を決める
  • プロフィールに書かれていない情報を推測しない
  • 返事がない相手に、確認のメッセージを重ねない
  • 文章を送ったあと、すぐに結果を確認しない

これは成功率を上げる方法ではありません。選別の仕事に使う時間を、どこまで自分の生活に戻すかを決める方法です。

外した話

以前、返事が来ない理由を文章の中から探し続けたことがあります。

挨拶が硬かったのか、質問が浅かったのか、相手の好きなものに触れなかったのか。書き直すたびに次のメッセージは良くなる気がしましたが、返信の有無はほとんど変わりませんでした。

文章を直しているあいだ、相手の都合や、アプリを開いていない時間は見えません。見えない条件まで自分の反省にしていました。

それからは、一通を送ったら、返事がないことを文章の採点結果にしないようにしています。自分で直せる範囲と、サービスの外側にある条件を分けるためです。

何が言えて、何が言えないか

最初のメッセージは、返事をしやすい形にはできます。プロフィールを読んだことを示し、相手が答えなくても困らない問いにすることもできます。

しかし、それで相手が返事をするとは言えません。返事を引き出す技術として売り始めた瞬間、相手の選択を自分の成果に変えてしまいます。

マッチングアプリで疲れているのは、文章が下手だからとは限らない。個人が接続と選別の両方を引き受ける設計になっている。そのことを知っているだけでも、返事のない一通を自分の人格の判定にしなくて済みます。

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よくある質問

最初のメッセージは何を書けばいいですか?
この記事では成功率を上げる定型文を扱いません。プロフィールを読んだことが分かる一文と、返事を急がせない問いを置く程度で、相手の反応は操作できないからです。
メッセージが続かないのは自分の文章力のせいですか?
文章力だけでは説明できません。相手の時間、関心、通知の量、サービス内の選別条件が同時に働くため、原因を個人の能力に一つ化しない方が正確です。
最初のメッセージは短い方がいいですか?
長さに普遍的な正解はありません。相手が返しやすく、こちらも一方的に質問を重ねない範囲に収めることが、文章の長短より重要です。
返信がない相手に何度も送るべきですか?
返信がない状態を意思表示として扱い、追いかけない方が相手の負担を増やしません。サービスの規約と相手の選択を優先してください。
マッチングアプリをやめれば解決しますか?
やめることが全員の解決になるとは言えません。ただ、メッセージの量と消耗が見合っていないと感じたら、利用時間や通知を減らすことは合理的な選択肢です。